Les Rêveries du promeneur solitaire

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

帯に「『ヤバい経済学』のレヴィット教授も絶賛!」なんて書いてある。原題は” The Checklist Manifesto”で、2009年12月に出版されたものらしい。日本語版の出版は2011年12月。先日記事にしたダニエル・カーネマンの著書「ファースト&スロー」に紹介されていたので読んでみた。

チェックリストというと冷たい感じがする。非創造的で機械的で単純な仕事でないと使えないような気がする。初心者の手習い程度にしか通用しないようにも感じる。「チェックリストを使え」なんて言ったら、ちょっと小馬鹿にしているように思われるかもしれない。

けれども、この本は、高度に専門的で、なおかつ熟練したスキルを持つプロに対してチェックリストの有効性を主張したもの。建物の建設や飛行機の操縦など、ミスが許されない複雑な業務を適時的確に処理しなければならない場合に、これまでチェックリストは有効性が示されてきたという。外科医である著者は、これらを参考にWHOで手術用のチェックリストを作成した。その過程のストーリーが豊富な逸話とともに描かれている。

ハードカバーの単行本なのだけれど新書でいいかも。濃厚さよりも取っつき易さにこだわったような物語風の内容で、簡潔でさらっと読める。要点を絞り込んで「簡潔でさらっと」というのは、著者が本書で訴えているチェックリストに必要な要素でもある。ただ個人的にはもうちょっと深堀りして欲しかったかな。まぁ原題のタイトルが「チェックリスト宣言」であり、ほかにも「共産党宣言」とか「関白宣言」とかいろいろあるけど、そういう本だ。