カリブの月
うっとうしい気候が続くなか、昨夜はスーパームーンだったらしい。というか、どちらかというと満月よりも三日月の方に趣が感じられて好みだったような気もするんだけど、もはや「今夜は満月だ」とでも言われてみなければ敢えて夜空の月を見上げるようなことはしなくなってしまった。
そんな辛気臭いことは言わずに、月に因んだ陽気な音楽で暑気払いを。
まず、動画の初っ端に映る看板がすごい。
ケビン・エアーズはブリティッシュ・ジャズロック・バンド、ソフトマシーンの創立メンバーであった。次のバンドにはマイク・オールドフィールドが在籍し、マイクは彼のサード・アルバム、「Whatevershebringswesing」でも演奏した。また彼は、イーノ、ニコ、ジョン・ケイルとも共演した。
こんな能書きをあざ笑うかのように、セーラー服姿のケビン・エアーズがウクレレをテキトーにかき鳴らしながら、カリビアンムーン、イエロウ、イエロウ・・・。「芸術?そんなの知らねえよ。見てろ、これが本物の大衆芸能ってもんだ」なんて、シリアスさの欠片もない「ゆるキャラ」のエアーズ師匠は言わないと思うけど。
そして1分10秒過ぎ辺りから恐ろしい光景が。カリブ人を馬鹿にすんものいい加減にしろ。
音楽は、ラテン音楽系の打楽器の音が聞こえる以外に、カリブっぽさは感じられない(ちなみにのちにエアーズ師匠はレゲエにはまることになるのだが・・・)。だいいちウクレレはスチールギターとセットでハワイアンだろう。雰囲気はハメハメハ大王の曲に似ている感じもする。さては、小林亜星に続いて森田公一もケビン・エアーズのフォロワーだったのか・・・どうだろう。
なお、能書きの「イーノ、ニコ、ジョン・ケイルとともに共演」というのは、このアルバムのこと。タイトルがなんとも凄まじい。
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- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
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- メディア: CD
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4人のほかにマイク・オールドフィールド、オリー・ハルソール、それから事故で半身不随になったばかりのロバート・ワイアットもパーカッションでゲスト参加していたりする。ほかの3人が鬼気迫るおどろおどろしい曲を不気味な叫び声を上げて演奏する中、エアーズだけ牧歌的なポップスをのんびりと歌うという妙なライブアルバムで、後に彼が言うには、勘違いしたレコード会社がエアーズをスタートして売り出そうと同じ事務所のメンバーを集め、エアーズにはシルクのスーツを着せてステージに立たせたのだそうだ。エアーズ師匠曰く「売れるわけねーだろ」。
本人はそんなまったく感じは出さないのに、なぜかカリスマみたいな人たちが彼のもとに集まってきた。ケビン・エアーズはちょっと不思議な人だった。