Les Rêveries du promeneur solitaire

The Dark Side of the Moon(月の裏側)

気分転換にブログのタイトルをちょっといじってみました。


月は自転と公転の周期が等しいのだそうで、地球にはいつも同じ面を向けていて裏側は見えません。見えないからといって「ない」わけではないのですが、月のイメージはいつも表側。当たり前ちゃーそのとおり。

眼の真ん中には視神経がないのだけれども、視界のど真ん中にぽっかりと黒い穴が空いたりはせず、無意識のうちに自動補正され、意識的には黒くて見えない部分を感じることはなかなかできません。その部分は見えていないのに見えているように見える。錯覚で見えているように見えても見えていない。でも、所詮見えるようにしか見えないわけで、見えているとおり見えていることにしないとやってけない。実際、黒い穴なんて見えない方が都合よいのでそう進化したのだろうと。でも、ごくたまに盲点を突かれてしまいます。

先般、陽性的中率と事前確率の関係を話題にしました。盲点。偽陽性(本当は陰性だけど陽性反応になる人)の割合は「(1-事前確率)×(1-特異度)」でした。(1-x)は、あらかじめ提示されたある確率の裏を見にいくということであって、つまり、事前確率が0.1%と提示されたら残りの99.9%の方に、特異度99.9%と提示されたら残りの0.1%の方に注意を向ける必要がありました。裏側なので見えづらくて、盲点を突かれてしまいます。

ところが、そんな先日の話題にも盲点がいくつか(も?)用意されていたのでした。

ひとつは、陽性的中率だけに注目したことで、陰性的中率を無視している点。実のところ陽性的中率と陰性的中率はトレードオフの関係にあり、陽性的中率を上げようとすると陰性的中率は下がってしまいます。偽陽性の生起確率を下げるために事前確率を高めようとすれば、今度は偽陰性が増えてしまうという。つまり本当は病気なのに検査をパスしてしまう人が増えるということになります。

インフルエンザの検査はそんな感じのようで、特に流行する季節(つまり事前確率が高め)には、ニセのインフル患者は少ないけれども、逆にセーフと判定された人の中に相当数のインフル患者がいるとされています。

陽性的中率と陰性的中率は下のリンク先のグラフのようなイメージになります。x軸は事前確率です。グラフでは感度と特異度を同じ数字(70%)で仮置きしているので、事前確率がちょうど50%のところで交差しています。

陽性的中率&陰性的中率


先般の話題の「盲点」はほかにもあって、その記事のオチの部分だったりするのですが、まぁいいや。少々長くなったのでこの辺りで。。

本日のBGM

月並みですが月なので