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Eureka!/Positive Reaction!

Rêveries du promeneur solitaire

ホントにやっかいな貸し借りの後始末

どーなってるの!?この島(国)は!



「れっしー」はキノボリカンガルー。元王子。元王子だけど声優はベジータの中の人ではなく、フリーザ様の中の人。フリーザ様も王子(コルド大王の息子)みたいなもんだけどな。

リースの業界では借手を「レッシー」と呼ぶ。借手をおだてている(?)わけではない。
貸手はレッサー。パンダみたいだと言っているわけではない。
もとは英語の「lessee」と「lessor」。

ちなみにレッサーパンダのは「lesser」で、「小さいほうのパンダ」という意味なのだそう。
「れっしー」はようするに、みど、ふぁど、れっしー、そらお、4人合わせてドレミファソラシドとのこと。
いろいろと勉強になるなあ。

ということで、今日はお勉強メモ。賃貸借に関する会計処理のルールについて今年になってIFRSの新基準を公開された。

◆現状のリース会計

リースとは物品を賃貸借すること。借手が貸手に対して賃借料を支払うことで物を受け取る。借りた物品を事業に役立てて賃借料を超える収益を上げられれば、借手は少ない資本を高速回転させることができる。賃借料は月々定額でやり取りされることが多い。

ファイナンス・リース

リースの中には、リース期間中の中途解約ができないうえ、その期間が対象の物品の使用可能期間(耐用年数)の大半を占めていたり、月々の賃借料の支払総額が物品を購入した場合の価格とあまり変わらなかったり、というケースがある。

この場合、法的な建前等はともかく、経済実態に関しては、物品を割賦販売で購入して月々定額を返済する場合とあまり違わない。他人からお金を調達して物品を購入するか、他人から物品を直接調達するかの違いに過ぎない。

そして、物品の貸手側は、往々にして借手に代わって金融機関から資金を調達して物品を購入しているのだ。そして賃借料は物品の購入コストに金利が上乗せされる構造になっている*1

この種のリースを金融取引との類似性からファイナンス・リースという。

・リース会計の歴史的な背景

借金して購入した場合と経済実態にあまり違いがないのにかかわらず、かつてファイナンス・リースは、通常の賃貸借と同様の会計処理だったため、借手は賃借料を費用としてP/Lに計上するだけだった。購入の場合にはバランスシートの借方に購入費用、貸方に調達資金を計上するのだから大きな違いだ。

物品ならお金と違って借りても借りてもバランスシートに表れないから、陰でレバレッジをかけまくって財務諸表の見栄えをよくすることができた。ただし、それはうまく回転している時の話。実態は解約不能のリース契約の場合、未経過分賃借料も確定債務であり、隠れ借金である。

過去の実例として、ある企業が破綻した際、簿外に多額の未経過賃借料を抱えていたことが後から発覚したことがあった。資金難のため固定資産を売却して現金化し、その代わり他人から事業用の資産をリースしまくっていた。実態としては倒産するよりもかなり以前から債務超過に陥っていたようだ。

そこで現在、この種のリース契約は、バランスシートにリース資産とリース債務という形で反映させるルールとなっている。ファイナンス・リースに該当しないリース契約はオペレーティング・リースといい、これらは通常の賃貸借の会計処理が許容されている(ただし解約不能なものは注記が必要)。

IFRSのリース会計

ここからが今日の本題。

近頃、日本の大企業でIFRS国際財務報告基準)を適用する会社が増えている。IFRSを決めているIASB(国際会計基準審議会)は、オペレーティング・リースに関してもオンバランスとする方向性を数年前に発表した。これはかなりセンセーショナルなものだった。その後、長期にわたる検討や調整の末、今年1月にようやく決着、新基準が公開された。

なんでオペレーティング・リースまでそんな議論になったのかというと、ファイナンス・リースを購入&金融取引の会計処理に近づけたところ、結果として従来の方法のまま残されたオペレーティング・リースの会計処理との差が開きすぎたということなのだろう。

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースも同じリース取引なのだから、まったく異なる会計処理は不自然だ。生じた歪みは、かえって規定の趣旨に反する脱法まがいの不透明な取引を助長し、ひいては規定そのものの意義を脅かすに至る。そんな感じか。

たとえば、経営が苦しくなった企業が本社ビルを他人に売却して、現金を得るとともに多額の売却益を計上しつつ、売った本社ビルをそのまま賃借して居続けるという事例(セールス・アンド・リースバック)はあまり珍しくはない。しかしこの取引、経済実態は本社ビルを担保に借金をしたのとあまり変わらないケースもある。全部とは言わないが。

日本では資産流動化ブームで2000年頃からさかんに行われるようになった手法で、SPC(特別目的会社)への譲渡等に関しては一定の歯止めはあるが抜け目もある。売却先が系列企業だったりすれば、売却価格ですらフェアなものと言えるのかどうか、といった疑念等が湧く。契約上の建前は中途解約可能と書いてあったとしても実際どうなのか。ホトボリ覚めたら買い戻すのではないか?

このことは斜め方向から眺めれば知恵比べであって、淘汰圧からのサバイバルによって生じた進化とも言える、のかな(?)。みんな生き残りに必死なのだ。

・借手の会計処理

IFRSの新しいリース会計についてもう少し詳しく見ていこう。

・資産の計上

新しいIFRSの規定(第16号)では、借手の会計処理について「使用権資産モデル」というのを採用するらしい。考え方の枠組みは、賃貸借の対象となる物品の使用権が貸手から借手に譲渡されるというものだが、この使用権は日本の法律で規定されている賃借権とか借地権のような法的な権利とは性格が異なり、あくまでも経済的な価値だ。

つまり、将来支払うべき賃借料の割引現在価値の総和に初期コストや原状回復費用(後述)などの諸費用等を加減算して調整したもの。これはリース対象の物品についてDCF法で算定した場合の経済価値に相当する。

もっとも経済価値といっても、物品を調達するために必要なコスト面に着目したもの=コストアプローチによる経済価値だ。

インカムアプローチによる経済価値(借手が調達した物品を事業に役立てることで将来獲得できる収益の割引現在価値の総和)がこの使用権価値を下回ることが明らかになった場合、つまり投資の失敗がわかった場合には、固定資産と同様に減損する必要がある。

・負債の計上

負債にも賃借料の割引現在価値の総和を計上する。原状回復費用等は含めない(後述のとおり別途、資産除去債務に織り込む)が、残価保証がある場合にはこれを含める。

・次年度以降の会計処理

その後はリース期間の満了までの間、毎期、使用権資産を減価償却するとともに、負債は現在価値に割り引い際の金利を毎期上乗せして復元していく。

P/Lでは使用権資産の減価償却費と負債に上乗せした金利が毎期認識する費用になる。

リース期間全体を通じた使用権資産の減価償却費と負債の金利の総額は、実際に現金で支払った賃借料の総額と一致する*2

つまり、会計上は、現金で支出する賃借料について、仮に物品を購入していたら認識することになるであろう減価償却費相当額と、その購入に必要な資金調達に係る金利相当額に分解して認識するという構造になっている。

ただ、リース期間全体総額は現金支出と一致してはいても、期間中の認識のタイミングにはずれが生じる見込みだ。

使用権資産の減価償却方法は有形固定資産と同様とされており、IFRSの場合は定額法を採用する企業が多くなると思われる。賃借料の支払いもふつう毎月定額だから、定額法なら基本的にシンクロするだろう。

一方、金利は負債(未経過分の賃借料)に割引率を乗じたもので負債での大きさに比例する。このため金利は負債の残高が大きい前半に前倒し気味に認識することになる。

だから、減価償却費と金利を合わせた費用は、ある程度の期間が経過するまでの間、実際に現金で定額支出するよりも多めに認識することになりそう。

一方、期間後半は金利負担が軽くなり、費用計上額よりも実際の現金支出の方が大きくなると思われる。

この結果、初期段階は内部留保を増やす自己金融効果が生じ、後半はその逆の効果が生じる(利益が出ているのに現金が不足)だろう。

また、税務上の所得計算は、おそらく現行どおり現金支出や契約期間で均等割した損金認識が原則になるのだろうから、会計上の損益と税務上の所得との間の一時差異が生じる。したがって税効果会計の対応が必要になると思われる。

また、金利は営業外費用になるため、賃借料をそのまま費用計上する場合と比べて営業利益を増やしたり製造原価を減らしたりする影響が可能性としては考えられている模様。

なお、セールス・アンド・リースバック取引は、原資産のオフバランスが認められるような一定の取引であっても、その代わりリースバックに関する使用権資産の計上が必要になる。多額の売却損益の計上は難しくなりそうだ。

・サービス構成部分との分解

リース契約にサービス契約が内在している場合には、対価をリース料部分とサービス料部分とに区分するのが原則となる。サービスに対応する対価部分はリース料から除外して発生の都度、費用計上するのが原則となる。ただし、実務上の負担を考慮し、まとめてリース料として取り扱うことも許容される。

不動産であれば、賃借料には物件の取得コスト(減価償却費+金利)以外に、共用部分の水光熱費や管理費、土地建物の固定資産税等の公租公課、火災保険料修繕費などの運営費用に対応する部分が含まれているのが一般的だ。

でもふつうテナントはオーナーが支払う固定資産税の金額なんてわからない。共益費なら毎月定額を負担するケースが一般的だが、金額は必ずしも実費をダイレクトに反映しているわけではなく、賃貸市場の需給や競合物件との競争などの影響を少なからず受けている。共益費が第二賃料と言われる所以だ。

だから、リース料から区分してサービスの対価とできるかどうか、判断が必要になるのではないだろうか。

なお、今後はリース契約とサービス契約の境界線が規定の抜け目(知恵比べ)としてクローズアップされてくる可能性がある、のかもしれないなあ。わからんけど。

・リース期間

現状の日本のリース会計において、リース期間は通常、契約期間や解約不能期間を適用するのだが、IFRS16号では「リースの継続が合理的に確実な期間」とする必要がある。

契約上の体裁を整えて、都合よくリース期間を調整したりすることを防止する目的がある模様。

日本の建物の賃貸借、特に伝統的な普通借家契約の場合、2年程度の期間を定めているものの、借手サイドからは一定の解約予告期間をクリアすればいつでも解約可能である契約が多い。

けれども、IFRSでは、契約如何にかかわらず経済的インセンティブ等を考慮した期間とする必要があるそうだから、たとえば契約上は半年経過すれば解約が可能だとしても、実際に解約することが現実的かどうか、その期間での解約に経済合理性があるのか、といった具合の視点を加えて決める必要がありそう。

リース期間も面倒な判断になる分、知恵比べの戦場になる可能性があるかなあ。。。

・割引率

割引現在価値を算出する際に使用する割引率は、原則として貸手が賃借料に織り込んでいる利子率を使う。しかし借手が容易に入手できないことも考えられ(日本の不動産ならムリなのがふつう)、その場合には借手自身の追加借入利子率を使用する。この金利なら現状のマイナス金利のもとでも、おそらくプラスになるだろうから計算に困ることはなさそう。

・原状回復費用

不動産等の賃貸借契約では賃借期間が満了し、貸手に返却するのに際して、借手に原状回復義務を課すケースが多い。この費用を見積もって現在価値に割り引いた金額を使用権資産の価額に加算することが必要となる。

なお、負債サイドにおいても同様の金額を資産除去債務として認識することになる。こちらは今回のリース負債の金額に含めるのではなく、従来からのIAS37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」を引き続き適用して測定することになるようだ。

◆貸手の処理

貸手サイドは、従来とあまり変わらず、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が残る。

ファイナンス・リースに該当する場合、対象の物品はオフバランスし、それに代えてリース期間全体を通じた未経過分の賃貸料(リース債権)について、割引現在価値の総和等を資産計上する。オペレーティング・リースの場合は、原則として従来どおり通常の賃貸借処理となる。

◆適用開始

原則として2019年1月1日以降に開始される事業年度から。早期適用、初度適用、経過措置に関する特例措置がある。

◆雑感

かなり理屈っぽくてやっかいだ。ここまでやんなきゃダメなのか。複雑すぎてかえって一般人にはわかりづらい。仮にインチキされてもなかなか気づけないのでは?そんな印象。

日本の不動産賃貸の取引慣行は、いわゆるリース業界のリース取引とは異なっているから、もともと金融チックなリース会計の考え方になかなかなじみにくい部分が多い。気軽に不動産を借りたらたいへんな会計処理が必要になりそう。

割引現在価値の概念などはすごく難しいわけでもないものの、一般にはあまり馴染みがなく、なかなか取っつきづらいのも事実だろう。事務負担の大きさを考えると、例によってシステム屋さんにとっては特需になるのかなあ。

*1:メンテナンスなどの各種サービスなどがセットになっているケースもあり、実際はもう少し複雑

*2:ただし、原状回復費用等はあくまでも予想金額なので実際の支出とで差が生じることとなった場合(ふつう生じるだろう)、後で調整を行うことになる

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