Eureka!/Positive Reaction!

Les Rêveries du promeneur solitaire

アイアンマン70.3のリザルトについて

先日、アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパンというトライアスロンの大会に出ました。距離はスイミング1.9km+サイクリング90.1km+ランニング21.1kmです。
アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパン

個人的な感想はさておいて、リザルトが公表されたので眺めてみたいと思います。

1.データについて

リザルトのデータは、こちらのサイトから1ページずつエクセルにコピペしました。30ページに分かれているので面倒でした。

完走者1,380人、DNF100人、DQ(失格)2人。完走率93.1%。
完走者のうち男性1,274人、女性106人。女性は10%未満です。トライアスロンは女性が少ないです。過酷なイメージのせいでしょうか。アイアンマンというネーミングも男の子向けだもんね。

年代別カテゴリでは、40代(40-44と45-49の合計)が約4割を占めています。前後の30代と50代を合わせると約9割になります。

<表1>完走者の年代別カテゴリごとの構成


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カテゴリ分けのベースとなる年齢は2018年12月末時点の予定です。私は40代最後のレースというつもりで申し込んだのに50歳にカウントされてしまいました。おかげでカテゴリ別の成績は良かったのですが、なんだかちょっと複雑な気分。

50代の参加者はピークの40代と比べると減少しますが、直近3年間のデータを見る限りでは増加傾向のようです(2016年20.3%→2018年24.7%)。データは省略しますが全体的に高齢化が進行しつつあるようにも見えます。あと何年頑張れるのかなあ。

2.年代別カテゴリごとの分布(男性)

まず、男性の記録の分布を年代別カテゴリに区分して概観してみたいと思います。
完走者の記録について、年代カテゴリ別・男女別に四分位数と四分位範囲を算出してみました。

  • 四分位数とは、記録を上から順に並べて25%ずつ区切った場合の区切り目の記録です。つまり、第1四分位数は上位25%に位置する記録、第2四分位数は50%、第3四分位数は75%です。
  • 第2四分位数は中央値に相当し、その集団を代表する数字です。中央値は平均値に比べて極端な値の影響を受けにくい特徴があります。
  • 四分位範囲は、第1四分位数と第3四分位数の開差です。上位25%と下位25%を除外した中間50%のデータが収まっている範囲で、その集団のバラツキの大きさを示します。
  • 以下の<表2>は、男性を対象としたものです。nは人数、Sはスイム、Cはサイクリング、Rがランニング。トランジションはSからCへのT1とCからRへのT2を合計で示しました。Q1~Q3は各四分位数、IQRは四分位範囲です。
<表2>年代別カテゴリごとの記録の分布(男性)


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IQRはすべてのカテゴリにおいてランニングが最も大きいです。次いでサイクリング。圧倒的に小さいのがスイミングです。これはスイミングでは時間差が開きにくく、逆にランニングでは開きやすいことを示しています。

年代カテゴリ分けはしていないのですが、男性の記録の分布をもう少し細かく区分してみたものが<表3>です。

<表3>記録の分布(男性)


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  • パーセンタイル(pt.)によって区分する方法で、先程の四分位数を細かくしたもの。各四分位数はそれぞれ25pt., 50pt.,75pt.に相当します。0pt.は最小値(1位)、100pt.は最大(最下位)です。
  • Meanは平均値です。各種目とも平均値と中央値(50pt.)にあまり大きな差は生じていませんでした。
  • σ(シグマ)は標準偏差です。IQRと同様にバラツキの大きさを示す指標です。やはりランニングの値が最も大きく、サイクリング、スイミングと続きます。

25pt.、50pt、75pt.のペースは上記の<表4>のとおりです。スイミングは100m当たり、サイクリングとランニングは1km当たりのスピードです。

<表4>種目別のペース(男性)


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サイクリングは距離や時間が最も長いのでそれなりに差が開きはしますが、1km当たりのスピードにはあまり大きな差がないようです。25pt.と75ptとの差はわずか17秒/km。時速で示すと3.8km/hの差(31.2-27.4)です。

しかしながら、空気抵抗はスピードの2乗で増大するので、31.2km/hと27.4km/hをパワーの出力値で示した場合には相当大きな開きになるのだろうと思います。スピードが上がってくるとパワーがなかなかスピードに表れにくくなるのです。そういう意味では実力の差が記録に表れにくい種目なのかもしれません。特にフラットなコースの場合。今回のコースは前半65kmまでフラットな周回、残り25キロはは比較的上り下りのあるコースでした。

距離・時間が圧倒的に長いサイクリングがランニングよりも差が開きにくいのは、ほかにも例えば「ランニングは最後の種目であり、なおかつサイクリングに続いて足を酷使するため、疲労の影響をより多く受けて持久力の差が記録に表れやすい」などといった理由があったりするのかもしれません。

また、<表4>のとおり、ランニングはペースのバラツキもとても大きいですが、前半に坂道が多かった影響もあるかもしれません。好天で気温も上昇して暑かったです。空の高いところからヒバリののどかな鳴き声が・・・。空を見上げてみようかな。でもそうしたら止まってしまう。ああ、なんでこんなことしているのかなあ。。後半は後半で平地でしたが階段や歩道橋もあってとっても楽しめました^^;

なお、スイミングの水の抵抗もスピードの2乗で増大します。ただ、スイミングの場合はペースの開きは大きいです。記録の差があまり開かないのは距離・時間が短いため。
個人的な印象ですが、トライアスロンのスイミングの場合はフィジカルよりもスキルの差が大きく、泳ぎが得意な人とそうでない人のギャップがより大きいように思います。
私の場合には海での泳ぎに慣れていないこともあり、もともと速くもないプールでのペースよりさらに遅くなってしまいます。

4.男女比較

年代別カテゴリごとの分布について、男女の記録の差(女性の記録-男性の記録)を示したものが下記の<表5>です。女性は年代カテゴリによっては人数が少なすぎるため、比較対象はまとまった人数のいる35歳から54歳を対象としました。ただし、合計の対象にはすべての年代が含まれています。

<表5>年代別カテゴリごとの男女差


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サイクリングで男女差が顕著になっています。一方、ランニングでは比較的差が小さい。先程みてきたとおり、男性のみではサイクリングの差はランニングよりも差が開きにくかったです。これは女性の間でも同様の傾向が見られます。それなのに男女比較ではサイクリングの差が最も顕著に表れるというのは興味深いです。

また、ランニングは男女差が比較的詰まっていて、30代後半や40代前半の中央値(Q2)の記録は女性の方が優れています。こちらも興味深い結果になりました。

個人的にスイムは女性の方が得意な印象がありましたが、今回の記録を見る限りそうでもないようです。女性の方がペース配分に慎重で、ランまで力を温存するということなのでしょうか?うーん、わかりません。

なお、女性の年代別カテゴリごとの記録の分布は次の<表6>のとおりです。Pro.と65-69の値がエラーとなっているのは、対象者がいないためです。

<表6>年代別カテゴリごとの記録の分布(女性)


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5.種目間の相関(男性)

最後に男性の記録を対象に各種目の相関を示したいと思います。
各種目の順位とトータルの順位について、相関係数マトリックスを次の<表7>で示しました。

相関係数は、-1~1の間の値をとります。平たくいうと、プラスは正の相関(同じ方向に動く傾向)、マイナスは負の相関(逆方向に動く傾向)、ゼロは無相関(バラバラ)を示します。

<表7>種目間の相関係数マトリックス(男性)


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各種目間の相関係数は、いずれも高めの水準の正の相関でした。たとえばスイミングでは、対サイクリング0.595、対ランニング0.507、対トータルで0.680です。

ただ、ひとつひとつの記録を散布図で示すとある疑いが浮かび上がってきました。

<図1>スイミング順位と各種目順位&トータル順位の散布図(男性)


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正の相関が高い場合、散布図は右肩上がりの直線に近い形状になります。負の相関では右肩下がりです。相関係数が1や-1の場合、散布図には完全な直線が描かれます。相関が低いとバラバラの形になります。

<図1>はいずれも右肩上がりの直線に近い形状にはなっているのですが、これは主に左下と右下につぶつぶが集中していることが大きい要因のように見えます。

このことは、スイミングの順位が極端に高い人は他でも極端に高い順位であり、逆にスイミングの順位が極端に低い人は他でもそういう傾向があるということを意味します。たとえて言うなら、プロ級とビギナーを同じ土俵で比較しているために起こっていることのようです。スイミンズ関係以外の散布図にも同様の現象が起こっていました。

ここでは各種目間の相関をみてみたいので、他の条件はなるべく均等にしたいところ。したがって極端な人たちをばっさり切り取って、トータル順位が上位25%から75%までの中間層50%の人たち、すなわち319位から956位の638人を対象に相関係数を出し直してみたのが、<表8>です。

<表8>種目間の相関係数マトリックス(男性のトータル順位上位25%~75%)


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  1. 各種目間の相関はいずれも低い。
  2. スイミングはトータル順位と相関が低め。
  3. サイクリングはトータル順位と相関が高め。
  4. ランニングはトータル順位と相関が最も高い。
  5. トランジションとトータル順位との相関も侮れない。

尤もトランジションは短時間で差が開きにくいので、いくら頑張っても順位への貢献度は限定されそうです。相関関係と因果関係は異なります。着替えの練習にばかり励んでも、成績はそう単純に上がらないと思われます。

ではなぜ、そこそこの相関がでているのかというと、トランジションの手際の良さは、経験や巧拙、疲労の度合い、肉体的・精神的な余裕など、背景にあるトータル順位に影響するような要素を間接的に反映しているのかもしれません。ええ、私はトランジションの順位が全種目の中で一番悪かったですよ。悪かったですねっ!

ここまでの結果から、ランニングは記録のバラツキが大きく、トータル順位との相関が比較的高いことが分かりました。この傾向は他のトライアスロンの大会でもよく見られるのではないでしょうか。

では、トータルの成績を上げるにはランニングの練習に重点をおけばいいのでしょうか?そこまで単純にいえるのかどうか、私にはわかりません。すいません。

最後に参考として散布図(トランジション以外)を示しておきます。

<図2>各種目順位&トータル順位の散布図(男性トータル順位319位から956位)


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おわり