いま世界の哲学者が考えていること
- 作者: 岡本裕一朗
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ポストモダン・ブーム以後の哲学の動向に興味が湧いて読んでみました。
いつまでも「哲学=人生論」と思っているのは日本人だけ!人工知能、遺伝子工学、格差社会、テロの脅威、フィンテック、宗教対立、環境破壊…「世界最高の知の巨人たち」が現代のとけない課題に答えをだす。
いや、ぶっちゃけ答えは載っていないのですが、現代社会が抱えている主要な問いに対する様々な「そもそも論」の概要が紹介されていて、ポイントが整理できると思います。大学生が読んだらいいかなと思います。
2016年9月の出版。ダイヤモンド社。著者は大学教授で専門は西洋の近現代思想。
目次
▼第1章 世界の哲学者は今、何を考えているのか
・ポストモダン以後、哲学はどこへ向かうのか
・メディア・技術論的転回とは何か
・実在論的転回とは何か
・自然主義的転回とは何か
▼第2章 IT革命は人類に何をもたらすのか
・人類史を変える二つの革命
・監視社会化する現代の世界
・人工知能が人類にもたらすもの
・IT革命と人類の未来
▼第3章 バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか
・「ポストヒューマン」誕生への道
・クローン人間は私たちと同等の権利をもつのだろうか
・再生医療によって永遠の命は手に入るのか
・犯罪者となる可能性の高い人間はあらかじめ隔離すべきか
・現代は「人間の終わり」を実現させるのか
▼第4章 資本主義は21世紀でも通用するのか
・資本主義が生む格差は問題か
・資本主義における「自由」をめぐる対立
・グローバル化は人々を国民国家から解放するか
・資本主義は乗り越えられるか
▼第5章 人類が宗教を捨てることはありえないのか
・近代は「脱宗教化」の過程だった
・多様な宗教の共存は不可能なのか
・科学によって宗教が滅びることはありえない
▼第6章 人類は地球を守らなくてはいけないのか
・環境はなぜ守らなくてはいけないのか
・環境論のプラグマティズム的転換
・環境保護論の歴史的地位とは
内容
ポイントは下記のダヤモンド・オンラインに掲載されているとおりなので省略
diamond.jp
雑感
- ポ・モブームの総括については別の本も読んでみたい。あれはいったい何だったのか。
- カンタン・メイヤスーの思弁的実在論、マルクス・ガブリエルの新実在論は面白そう。
- マルクス主義を支持していたインテリたちがスターリンに見切りをつけた辺りから、近代が終焉を迎えたといわれるようになって既に数十年。ずっと踊り場のような状況が続いている。その場しのぎで踊っていたポ・モは一過性のブームに終り、アングロサクソン主導のグローバリズムもリーマンショックを契機に暗雲が立ち込め、トランプ大統領で自己崩壊しかねない状況。一方で西洋とは異なる歴史や価値観を持った国々が台頭中。近代が終わったというより、普遍的だと思っていた西洋的近代化が弱体化・相対化してきたのかもしれないなあ。