ライト、ついてますか-問題発見の人間学
- 作者: ドナルド・C・ゴース,G.M.ワインバーグ,木村泉
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1987/10/25
- メディア: 単行本
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今まで知らなかったけれど、ジェラルド・ワインバーグという人はプログラマーの業界ではけっこうな有名人のようで、たくさん本を出しているし、たとえばウィキペディアにも載っている。
ただ、この本の存在を知ったのは、けっこう昔で、たぶん15年くらい前だ。ある個人のホームページで紹介されていた。いまはもうそのホームページは見当たらない。
最近、たまたま創造的な思考法だの、デザイン思考だのについて考える機会があった。自分はユニークな事柄が好きな方だとは思ってはいるものの、仕事はわりと分析的なものが多いし、プライベートでもクリティカルシンキング関連も本を好んで読んでいる。だからふだんの自分は、いわゆるデザイン思考的な方向性とは向きが逆なのである。浅田彰風にいうと、スキゾ的ではなくてパラノ的というか、そんな感じ。
とにかく、AIだのフィンテックだのとこれから世の中が目まぐるしく変わるというニュースに日々曝される中で、そういえばあんな本があったなあと思い出した。ちなみに自分は自己啓発本とかビジネス書にはまったく興味が湧かないダメな人間なので、この本を読んでゲットしたノウハウを使って具体的なタスクをこうソリューションしてやろうとかそういう動機はない。ただなんとなくおもしろそうかなーなんて。
この本自体は初版が1987年と、もうかなり古い。趣味で読む本はもう電子しか買わないつもりだったが、久しぶりに紙の本を買った。デザイン思考とかにはあんまり関係なくて、問題発見、問題定義の着眼点とか発想法について書かれたもの。
学校ではあらかじめ提示された問題の解き方をひたすら教わるのだけれど、実際の社会生活では、問題は発見したり、見極めたりする方がずっと難しい。問題が分かってしまえば、解くのはわりと簡単。本書はそういうふうに説いている。
全体的にユーモアたっぷりなのだけれど、つかみどころがいまひとつはっきりしていなくてわかりにくかった。古さもあるのかな。いや頭が悪いからか。ああ。。
何度も読み返すとじわじわと味がじみ出てくるのかもしれない。そんな根性ないけど^^; ただ、ポイントについては箴言のような短いまとめがでてくるのは助かったから、ついでに備忘として書き留めておく。
第1部 何が問題か?
- 問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である。
- ユーモアのセンスのない人のために問題を解こうとするな。
第2部 問題は何なのか?
- 彼らの解決方法を問題の定義と取り違えるな。
- 彼らの問題をやすやすと解いてやると彼らは本当の問題を解いてもらったとは決して信じない。
- 解法を問題の定義と取り違えるな。ことにその解法が自分の解法であるときには注意。
- 問題の正しい定義が得られたかどうかは決してわからない、問題が解けたあとでも。
- 結論に飛びついてはいけないが、自分の第一印象は無視するな。
- 正しい問題定義が得られたという確信は決して得られない。だがその確信を得ようとする-努力は、決してやめてはいけない。
第3部 問題は本当のところ何か?
- すべての回答は次の問題の出所。
- 問題によっては、それを認識するところが一番難しいということもある。
- キミの問題理解をおじゃんにする原因を三つ考えられないうちは、キミはまだ問題を把握していない。
- キミの問題定義を外国人や盲人や子供に試してみよう。またキミ自身が外国人や盲人や子供になってみよう。
- 新しい視点は必ず新しい不適合を作り出す。
- 問題定義のうんざりするような道筋をさまよっているときは、ときどき立ち止まって、迷子になっていないか確認しよう。
- 問題が言葉の形になったら、それがみんなの頭に入るまで言葉をもて遊んでみよう。
第4部 それは誰の問題か?
- 他人が自分の問題を自分で完全に解けるときに、それを解いてやろうとするな。
- もしそれが彼らの問題なら、それを彼らの問題にしてしまえ。
- もしある人物が問題に関係があって、しかもその問題を抱えていないなら、何かをやってそれをその人物の問題にしてしまおう。
- 変化のために自分を責めてみよう、たとえほんの一瞬でも。
- もし人々の頭の中のライトがついているなら、ちょっと思い出させてやる方がごちゃごちゃいうより有効なのだ。
第5部 それはどこからきたか?
- 問題の出所はしばしばわれわれ自身の中になる。
第6部 われわれは本当にそれを解きたいか?
- ちょっと見たところと違って人々は、くれといったものを出してやるまでは何がほしかったか知らぬものである。
- あとから調べてみれば、本当に問題を解いてほしかった人はそんなにいないものだ。
- ちゃんとやるひまはないもの、もう一度やるひまはいくらでもあるもの。
- 本当にほしいか考えるひまはないもの、後悔するひまはいくらでもあるもの。
さて、この本の内容を我が物として生かせるかどうかは正直自信がないけれど、問題の見極めが容易ではないことや重要なことだけはなんとなくわかった。今回書きだしたポイントの部分だけはあと何回かお経のように読み返してみよう。
まあ、それなりに楽しめたところもあったからよしとしようっと。